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政策提言 CONCEPTB

私の挑戦:神奈川で実現する基本政策骨子

神奈川のストーリーをはじめるに当たって

 新しい日本のストーリーに向けて、具体的な動きを生み出す場が、地域です。そして、いまやどの日本人にも共通に待っているのが、企業や産業、官庁などの組織社会から卒業したあとの、長い別の人生です。
 高齢世代だけではありません。女性も若者も、そして組織社会でがんばる現役世代の方々や、プロフェッショナルの皆さんも、人生で何に価値の軸を置くのか。その答を求めようと本気で考える時代になりました。
 何らかの価値を社会に生みだすことに直接たずさわり、そこに自らの存在価値を見出す。そのような場こそを、多くの日本人は希求しているのだと思います。その答をみつける場として、「地域」をとらえることから、地に足の着いた地域の再生・活性化が組み立てられると考えます。
 ひと口に「神奈川」といっても、そこには数多くの多様な地域が広がっています。それぞれの地域ごとに、地域の特性は大きく異なります。
 『自らの強さを活かした地域アイデンティティー戦略』で、各地域が独自にテーマを発見し、広く日本や世界に価値を発信することにしか、地域の衰退を反転させる方法はありません。それができた地域が、ヒトもおカネも経済活動も知恵も文化も呼び込める求心力を得て、ほんものの地域活性化を実現できる。そのような時代になりました。
 幸い、神奈川はさまざまな潜在力をもった県です。全国のモデルになるような成功事例を次々と生み出しやすい県だと思います。日本全体の課題である「活力ある超高齢化社会のモデル」も、きっと、神奈川から生まれることでしょう。
 日本はそろそろ、議論の局面から、実践や組み立ての局面に入るときを迎えました。そこでは、実際の行動に向けたきっかけをデザインすることが重要です。成功事例を見せられてこそ、人々の行動が促され、社会全体に方向感が生まれることで、日本が次のステージへと飛躍できるようになります。
 ただ、地域がどれだけがんばっても、地域だけではできないこともあります。いくら神奈川に実力があるといっても、社会の基礎的なインフラが神奈川の実力に見合った形で整備されていなければ、それは単なる潜在的な可能性にとどまってしまいます。たとえば、国道1号線の渋滞など、動脈がつまっているようでは、せっかくの実力も十分に開花しません。国の少しの追加投資で、ハイテクや新たなサービス産業などがもっと花開くのが神奈川です。それは、日本復活の上でも、きわめて投資効率の高い投資になるはずです。
 神奈川の潜在力を引き出し、地域が自立的に発展していくためには、その土台部分で、国のサポートが欠かせません。松田まなぶは、神奈川の力をみつめ、そのストーリーづくりに向けた戦略的な役割を、国政に働きかけていきたいと思います。
 日本のストーリーが神奈川から始まる。そのドラマを皆さんと一緒に創りましょう。

なぜ神奈川なのか

 日本のストーリーを始める地として松田まなぶが着目した神奈川の潜在力としては、次のことが挙げられます。
 まず、神奈川が全体として、研究開発力が高い企業が数多く集積し、観光資源にも恵まれ、NPO活動など住民の主体的な活動が広がるポテンシャルの高い県であることは、かつてから注目されてきたところです。神奈川には日本を代表する国際都市、横浜があり、そこには、開港以来の文化の蓄積、横浜港だけでなく国際空港化する羽田を近隣に持つことによる国際社会に開かれた可能性、知名度やブランドなどがあります。
 神奈川は、「拡大首都圏」(東京中心に半径100km県内に5,700万人の欧州大国並の人口とマーケットが集積)のなかにあって、産業、情報、交流、研究開発、文化などさまざまな機能を集積し、進取の気性に富む一定の住民層が存在、東京通勤圏の居住地として増大を続ける人口と、それに伴う層の厚い巨大マーケットなど、そこには地域再生のモデル構築に動員できる潜在パワーが満ち溢れています。
 特に私が重要だと考えるのは、神奈川に居を定めて東京に通勤する人々の居住地として拡大してきた人口が、今後、長期にわたり高齢化していくことです。定年後の世代が、団塊の世代を中心に、いまや日本の潜在パワーの中核になりつつあります。日本の不幸は、定年を過ぎたとたんに、そうした人々も社会での価値創出の場から遠ざけられてしまうことにあります。
 超高齢化社会では、高齢世代もできるだけ価値を生み出す世代であり続けてもらわなければ、この社会が経済的につじつまの合う形で持続していくことはむずかしくなります。問題は、これまでの産業社会だけでは、こうした活力ある世代も居場所を見出せないことにあります。
 勤め人としてさまざまな経験知を積み、新たな出会いやネットワークを求める定年後の人々のパワーを地域に引き出し、神奈川の持つ潜在力パワーと結びつける。神奈川は、地域再生の成功モデルを構築しやすい地だと考えました。
 松田まなぶが提唱する日本のニューディールを起動させるためには、成功モデルの構築が不可欠です。神奈川で始まる物語を日本のストーリーにしていきたいと思います。

神奈川の基本理念 松田まなぶの提案

日本復活は神奈川から 
さまざまなストーリーに向けてたちあがる地域社会 
世界に価値を生み、課題に答えを出す神奈川に

神奈川マニフェスト 地域社会に向けて松田まなぶが考える政策メニュー

 神奈川の地域は多様です
 それぞれ特性の異なる地域ごとに、その地域に応じたテーマとストーリーを、きめこまかに考える必要があります
では、いまの松田まなぶはどんなことを考えているのか
以下は、松田まなぶが地域社会に向けて掲げたいミッション(使命)の骨子にすぎません
そんな松田まなぶが神奈川の各地域のかたがたと、それぞれの地域の再生ストーリーを語り合い、地域ごとにミッションとマニフェストを練り上げていきたいと考えています
(それぞれのメニューの内容については、後述「メニューの解説」を参照してください)

[1]地域が支える医療・福祉で地域社会がよみがえる!

 地域医療と福祉のネットワーク化を住民の協働で実現し、健康の「価値」を保証するとともに、地域住民の生きがいを支える。
  1. 「健康」の価値実現のために、さまざまな医療関係機関をネットワーク化します。高度で多様な医療・健康保証サービスを、医療システムの多様なエンドユーザーに対し効果的・効率的に提供する医療モデルを構築します。
  2. 新たな医療経営モデルの導入で病院経営を立て直し、医療の安心を確実にします。
  3. 医療・福祉・介護や生活保障などについて、誰でも気軽に相談できるコミュニティ拠点を構築し、安心して暮らせるまちづくりを住民と協働で進めます。ここに団塊の世代など高齢世代や主婦など地域住民の参画を促す仕組みを組み立てます。
−メニュー−
  • (a)「医療クラスター」
  • (b)機能分化と統合による地域医療提供システム
  • (c)新たな医療「経営」モデル 
  • (d)「健康」を軸とした住民参加による地域再生
  • (e)地域健康コミュニティーの推進
  • (f)医療問題に答えを出すために地域に「公」の仕組みを幅広く構築

[2]人材と富を生む「都市ニューディール」を!

「知」の価値を徹底追求し、人材と雇用と富を生む都市を創る。
  1. 子育て、教育から職業訓練まで生涯にわたる質の高い人材育成システムを機能的に整備します。
  2. 企業や大学・研究機関、自治体、非営利組織や住民などの協働システムを形成することを通じて、知と技術を集約し、都市の経済基盤と雇用創出力を強化、地域社会の福祉やクォリティー・オブ・ライフ(生活の質)の源泉となる富を生むことをめざします。
  3. 地域における「参加と貢献とコミュニティー」の価値を通じて、「人間と知」の価値を追求します。
−メニュー−
  • (g)地域の資産などを活用した子育て支援
  • (h)教員大学院
  • (i)学生・生徒による地域コミュニティーへの貢献
  • (j)地域の「公」が新たに担う職業訓練・雇用仲介機能
  • (k)「知と技術」のプラットフォームと市民の投資参加
  • (k−2)国際キャンパス都市構想
  • (l)アジアの活力を活用できる世界の「課題解決センター」

[3]食の価値の創造と高齢者雇用を伴うコミュニティー

 都市(近郊)農業の新モデルの実践で安全な「食の価値」を人々に提供し、シニア世代が活動する場を具現化する。
  1. 大規模公有地など遊休地を活用し、植物工場をはじめさまざまな形態の水耕栽培「農業工場」を中核に、付加価値の高い「食」の生産の場として、都市プランテーションの整備を考えます。
  2. そこに団塊の世代など、定年後の元気な高齢者に対する第二の雇用の場を創出します。彼らのさまざまな分野での経験・知識などの蓄積を「新結合」させ、豊かで多彩な「食」の価値の創出をめざします。
  3. 科学的農業の導入により、ミネラル豊富で新鮮・安全・おいしい「食」を供給することで、「健康」の価値の創出もめざします。
  4. 太陽熱やバイオなど環境対応型エネルギーを農業生産に組み込むことで、生産性を向上させます。それを特色ある緑のまちの形成にも活かすことで、「環境」の価値形成にも寄与するようにします。
  5. この都市プランテーションにより、地域では地産地消を推進する一方で、これを、広く企業などが農業ビジネスに参画し、あるいは新たな農作物研究機能が集積するプラットフォームとします。
  6. そして、国内のみならず、健康で安全な食への需要が拡大する東アジア市場をねらった展開へと発展させます。(市場はアジアに、雇用は国内の地域に)
  7. やる気のある農業従事者にとって、創意工夫が報われる農業を展開します。農業に生産、流通革命を起こし、そこに農協の新たな活動領域と存在意義を組み立てます。
−メニュー−
  • (m)「農業シニアリビングタウン」構想の推進
  • (n)「シニア共同体」
  • (o)植物工場コミュニティー
  • (p)農業生産革命のプラットフォーム
  • (q)漁業養殖工場

[4]魅力ある時空と生活の質の向上をめざす地域社会を!

 新たな人生のフロンティアを拓く「ニューディール」を実践し、生きることの質を高めることで豊かな人生を創出する時空を、都市や地域に形成する。
  1. 自然環境の豊かなまちや地域づくりに住民の総力を挙げて取り組みます。
  2. 文化・スポーツなどの活動にすべての地域住民が参画する仕組みを構築します。
  3. 地域やテーマを軸とした非営利の多様な「価値創出コミュニティー」を形成し、21世紀の新たな社会モデルを生み出します。
−メニュー−
  • (r)循環型社会に向けた都市システムの形成
  • (s)緑と海に神奈川の夢を
  • (t)喜びや楽しみの地域コミュニティー倶楽部
  • (u)「にぎわい」を呼び込むテーマと時空のプラットフォーム
  • (u−2)歴史と文化がかおる神奈川

[5]新しい時代の地域ニューエコノミーを!

日本の強さは、これまで築き上げた蓄積(ストック)と、民間の潜在力。これらを地域の再生に徹底活用する「新しい経済」を実践。
  1. 経済成長とは、経済の規模が拡大するテンポの速さにすぎません。日本は、それを追い求める時代から、これまでの蓄積をうまく活かしながら豊かさを求める時代に入りました。その知恵を生みだす試みを地域から始め、いまの日本にふさわしい新しい経済のあり方を追求します。
  2. そのため、金融と実物の両面にわたる資産や、技術、ノウハウ、経験知など、さまざまな蓄積をネットワーク化して徹底活用し、その社会的な価値を向上させます。そうした取り組みを、制度のタテ割りを超えて、地域だからこそ可能なヨコ串横断の協働で進めます。
  3. 地域で人々の活動領域を拡大させたり、公的ニーズに対応するに当たっては、民の潜在力を引き出す「公」の仕組みや、官有の地域資産、民間の保有資産などの活用で対応し、新たな官依存、財政依存を生まないことを基本とします。
  4. これまでの蓄積を活かした「新しい経済の物語」を始めるために、その具体的な仕組みについて地域でのモデルを組み立て、先行事例として神奈川で実践します。
−メニュー−
  • (v)ストック使い回しネットワーク
  • (w)地域のテーマに即して実物資産を有効活用
  • (x)公的なニーズを支える主体を「官から民へ」移すことで、民が支える「公」を生み出す
  • (y)パブリックエクイティや市民ファンドなどの新たな財源システム

 以上、活力ある魅力的な地域づくりに向けて、さまざまなテーマをならべてみました。
テーマはほかにもいろいろなものがあります。ここで挙げたのは、ほんの一例にすぎません。どのようなテーマで、どのような良循環を地域に生みだしていくか、それを地域の皆さんとともに考えていくことが、松田まなぶのミッションです。
 ここで、そのような良循環の一例を考えてみましょう。
 たとえば、活力ある超高齢化社会の運営モデルという大きなテーマを、多くの地域で重要な課題となっている中心市街地や商店街の再生と結びつけてみると・・・
⇒⇒超高齢化社会では、モータリゼーションに頼りきった大型店は高齢者のライフスタイルには合いません。高齢者のクルマの事故もめだちはじめています。郊外のエリアで高齢化が進めば、それを維持する社会的なコストも高くつくものになっていきます。
そこで、まちの中心部に、高齢者が歩いて回れる商店街を、コミュニティゾーンとして再生することを考えてみます。高度成長期以来、まちのなかから外へ外へと拡大してきた居住を、高齢者を中心に、まちのなかに呼び戻すのです。時代の流れが人口減少、高齢化へと反転した以上、居住のあり方の「設計思想」も、逆転させる必要があります。
まちの中心部で、定年後のセカンドライフを楽しむ人の小さな投資で、地域愛をハグくむネットカフェや趣味なども活かした、魅力的なまちづくりをしてみませんか。
後継者の少ない商店街は、定年後のスモールビジネスの場としては最高の場です。
:まちの中心部を超高齢化社会の拠点として位置づけてみる⇒商店街は彼らの消費や活動の場になる⇒そこにコミュニティビジネスの市場が成り立つようになる⇒まちがにぎわいを取り戻し、元気で魅力的な時空となる⇒まちの求心力が高まり、超高齢化社会の拠点として発展する⇒...
知恵と工夫と地域社会の協働によって、こうした良循環を組み立てることができれば、そこは地域のストーリーが生まれることでしょう。

神奈川から始まる日本のストーリーを、まず、あなたの地域で始めてみませんか。
松田まなぶは、そのヒントとなるテーマを、ここで掲げたものにどんどん加えていきたいと考えています。

メニューの解説

(a)「医療クラスター」

・ 交通便利なエリアで、さまざまな医療機関や研究機能、滞在・住宅機能などを高度に集積します。
・ 地域の住民だけでなく、東京をはじめ全国からの総合的な健康保障ニーズに応えます。
・ ここには東アジア(中国)からの富裕層・中間層を主たるターゲットとしつつ、海外からの「医療ツアー」も受け入れます。羽田空港の国際化もにらみ、アジアの活力を取り込みます。

(b)機能分化と統合による地域医療提供システム

・ 住民の視点に立った地域単位での医療提供システムのモデルを構築します。
・ 「機能分化と統合」(高度で緊急度の高い医療は地域の中核病院に集約、地域内の他の病院や診療所、開業医等はそれぞれ特定の役割を分担し、ネットワーク化、これらを有機的に結びつけて地域単位で医療提供をマネージする)の考え方を推進します。
・ 日頃の健康増進や予防医療・検診から、病後のリハビリや社会復帰まで、さまざまなセンター機能を構築し、医療と連携します。
・ 医療間連携についても、たとえば国民病であるがんの治療は、がん早期発見センターから重粒子線病院まで、患者に対して異なる医療機関をシームレスにつなぐシステムをモデル的に実践します。

(c)新たな医療「経営」モデル

・ 医療のすべてが、人々にとってコスト(費用:できるだけ削減すべき負担)だとは限りません。医療には、バリュー(価値:人々が自らの選択でよろこびを味わう)という側面が見出されるはずです。
・ 医療を消費や寄付や資金拠出の対象にできるよう、そこにさまざまな価値を組み立てて、比較的裕福な方々がよろこんで医療におカネを出すようにします。そして、そのおカネが一般の医療の充実に回るシステムを構築します。
・ これに向けた医療マネージメントを地域で組み立てます。意欲のある病院や運営主体が、健康に関わる「価値」を地域社会に生み、提示することで、医療の財源が確保され、助け合いが実現するモデルを構築します。
・ こうした試みのなかで、地域再生の新たなファイナンスの仕組みである「パブリックエクイティ」を、住民が自らの健康や安心の確保を貴重な価値として認め、これに投資する仕組みとして導入することを考えます。

(d)「健康」を軸とした住民参加による地域再生

・ 医療と介護などの福祉を組み合わせた「メディカル・コミュニティー・タウン」を形成します。
・ そこでは、医療・介護・高齢者福祉(病院、ホスビス、老人ホーム、在宅介護など)に、地域住民が老若男女を問わず参加する姿を考えます。
・ 福祉ポイント制などのインセンティブを付与するなど、「公」への参加にさまざまな工夫を実験します。

(e)地域健康コミュニティーの推進

・ 健康をテーマに、地域の元気な高齢者や主婦のパワーを引き出し、人々の交流の場を創ります。
・ そこでは、医療人と一般人とのコミュニケーションも可能になり、メディカル・コミュニケーション問題の解決、勤務医と開業医の役割分担ネットワークなどにも資することになります。
・ また、コミュニティーの拠点では高齢者に「社交」の場と24時間高度医療体制を提供し、分散した高齢者居住や高齢者ケアとつなぎます。
・ コミュニティー形成のきっかけとして、たとえば、地域の高校の同窓会を活用したアクションモデルを実践してみます。

(f)医療問題に答えを出すために地域に「公」の仕組みを幅広く構築

 医療事故について地域ADR(裁判外紛争解決手続き:Alternative Dispute Resolution)を本格推進します。
 メディエーター派遣システムを地域に整備します。
 医療の助け合いのために、寄付などの受け皿となる「基金」の設立を地域で試みます。
 医療技術や知識等の普及・促進のための公的活動を地域から起こします。

(g)地域の資産などを活用した子育て支援

 子育てを地域コミュニティーで支援するモデルを創ります。
 学校資産などの活用(空き教室などを保育の場に、放課後も引き続き生徒を学校で預かるなど)を考えます。
 幼稚園と保育園の一元化、オフィス街での公共不動産の託児所への活用を推進します。

(h)教員大学院

・ 教員たちが学ぶ「教員大学院」を自治体、地域の企業、大学、研究機関、非営利組織、市民団体などの協働により設置することで、教育力を高め、社会が求める人材の育成環境を整備します。

(i)学生・生徒による地域コミュニティーへの貢献

・ 福祉サポートなど地域の「公」活動に学生や生徒を活用することで「公」や地域社会に対する価値観を若い世代に涵養します。
・ 地域の大学、高等教育機関、高校などが、学生・生徒に対してこうしたカリキュラムを組むことや、あるいは課外活動を奨励することが重要です。
・ その受け皿となるようなネットワークやセンター機能を地域に整備します。

(j)地域の「公」が新たに担う職業訓練・雇用仲介機能

・ これまでの企業に代わる職業人育成機能の新たな担い手を、地域の「公」に求めます。現実の雇用につながる高度で実践的な職業訓練を実施し、各界の参加で地域のニーズを反映した具体的なプログラムと場を提供する仕組みを、地域の企業等と連携しつつ構築します。

(k)「知と技術」のプラットフォームと市民の投資参加

 企業や大学・研究機関をはじめ、神奈川の各組織、各分野に蓄積された「知と技術」を集約・合流させることで、より高度な技術力や製品開発力を生み、新たな成長ビジネスと雇用を創出することをめざします。
・ 環境や医療、あるいは福祉や食関連など、広く東アジアなどにも長期的な市場拡大が見込める新分野を創造することにより、住民福祉の源泉となる富の形成を図る事業モデルを構築します。
・ 特に環境については、既存の企業支援施設を環境技術開発センターとして転用し、地元の中小企業が参加する産・学・官連携による環境型産業を育成します。
・ これらの新分野創造に、住民の誰もが投資参加できるような仕組みを構築します。

(k−2)国際キャンパス都市構想

・ 大学機能を集積し、海外から人材を呼び込み、日本が世界に誇る「知的財産センター」を構築します。そのために、たとえば横浜中心部の再開発を検討します。

(l)アジアの活力を活用できる世界の「課題解決センター」

・ 東アジアの活力やアジアや世界の多様な経済活動を戦略的に活用することが、経済活性化のカギです。
・ そのためには、ヒト(人材)、カネ(投資資金)、知恵や情報などを、アジアや世界から吸引する求心力と世界に対する発信力を構築することが必要です。
・ たとえば横浜については、これまでの「世界に開かれた都市横浜」を、「知と技術」を主宰する国際都市へと、さらには「人類社会共通の課題解決センター」へとバージョンアップさせることを考えます
・ 神奈川の多くの都市で、このような考え方で都市としての仕組みを組み立ててみます。

(m)「農業シニアリビングタウン」構想の推進

・ 大都市の人口集積を、地域再生に必要なヒトの流入という面でも、マーケットの面でも活用することをねらった、都市近郊型の地域再生のモデルです。
・ まだまだ元気なのに働く場がない会社リタイア世代(活力ある団塊の世代など)が、都市部では増大していきます。彼らでも可能な水耕栽培(植物工場)で安全・安心な農産品の生産に携わる場を、大都市近郊の自然に恵まれた地に提供し、雇用機会を創出します。
・ 最初は都市部と郊外との二箇所居住でも、やがてその地での定住へと進み、希望者にはいずれ本格農業へと進んでいただくことも視野に入れます。
・ こうして、「食の価値」を発信できる地域アイデンティティーを形成します。
・ 候補地としては、たとえば県内の基地返還予定地も考えられます。

(n)「シニア共同体」

・リタイア後の高齢世代が、そのライフスタイルに応じて仕事をし、収入を得ながら、同世代どうしの楽しい交流のなかで生活できる共同体タウンの考え方を推進します。

(o)植物工場コミュニティー

・都心部やまちのなかに植物工場空間を創り、リタイア後の高齢者や主婦などの都市住民が、自給的農業と食の楽しみをきっかけに自由に集う場を考えてみてはどうでしょうか。

(p)農業生産革命のプラットフォーム

・食、健康、環境の3つの価値を同時に目指す農業生産革命の場として、企業や大学・研究機関、非営利組織・NPOや市民、定年後の高齢者から主婦・若者まで、さまざまな主体が参画する地域の「公」を創造してみてはどうでしょうか。

(q)漁業養殖工場

・港湾や海岸線に恵まれた神奈川県において、資源枯渇化が懸念される漁業の養殖工場を、上記と同様のコンセプトに沿って展開します。

(r)循環型社会に向けた都市システムの形成

・Co2削減目標を先導する低炭素型の都市づくり。
・交通システムの改革(公共交通の利用促進の仕組みや啓発活動、LRT導入、交通体系の組み替えなど)。
・エネルギーシステムの改革(燃料電池や太陽熱エネルギーの公共施設への活用、クリーン・エネルギー技術の推進運動など)。
・みなと横浜の環境改善(陸電供給など排気ガス抑制に向けた仕組みなど。

(s)緑と海に神奈川の夢を

・たとえば横浜では、「丘と海のまち・横浜」の生態系保全や温暖化防止対策として、18区をつなぐ「緑の道づくり構想」を推進します。
・都市公園や市街地の歩道などの緑化や保全を進め、利用者に優しく、憩いのある都市空間を創出します。
・これを住民の運動として主体的な参加や投資を促す仕組みを構築します。
・「人間と自然との調和」や環境という価値に向けて、海にめぐまれた神奈川ならではの取り組みを進めます。たとえば湘南地域では「ビーチクリーン」運動を推進します。

(t)喜びや楽しみの地域コミュニティー倶楽部

・地域の公共的資産(既存の学校施設など)を活用し、あらゆる世代がスポーツや文化・芸術活動を楽しみ、企業・住民が運営参加できるコミュニティ倶楽部を各地域に創設します。
・これを地域の青少年育成の拠点としても活用します。

(u)「にぎわい」を呼び込むテーマと時空のプラットフォーム

・「地域再生は産業誘致ではなく消費の振興」との時代潮流を徹底活用し、ヒトを呼び込む求心力を地域に形成することをめざします。
・たとえば「超高齢化社会の運営モデル」というテーマのもとに、高齢者が歩いて回れる中心市街地を創出します(都市中心部への高齢者居住の回帰)。
・ビジネス、文化、学術、スポーツ、観光などさまざまなテーマや目的を組み立て、周辺地域〜全国〜海外からヒトを惹きつけることをめざします。訪問者には、まち全体が魅力ある多様な時空や都市空間を提供します。
・地域にヒトや活動を呼び込むことで、消費の振興に加え、地域にさまざまな刺激や交流をもたらすことで、住民の活力や地域での多様な価値創出にも結実、それがさらに地域の魅力を高め、ヒトを呼び込む良循環を形成することをめざします。

(u−2)歴史と文化がかおる神奈川

・神奈川には日本の歴史が集積しています。そのことにもっと目を向け、日本が誇る文化と伝統の中核的存在として、神奈川への意識を高揚していきます。
・芸術文化に満ち溢れた「アーティスティック神奈川」を創ります。

(v)ストック使い回しネットワーク

・日本が世界第二位のGDPを誇りながら、それにふさわしい豊かさを享受できていない原因は、ストック活用の社会システムが未成熟なことにありました。これまでの成長で蓄積されたストックの質を高めることで豊かさを生み出すことが可能です。
・たとえば、住宅ストックは、中古住宅市場の未発達により、住宅の質を高めて取得時より高く売却できるような市場が日本には存在しません。
・地域での社会実験として、さまざまなストックについて、こうした二次市場の形成を視野に入れて、まずは、既存のストックを徹底的に使い回し、活用するためのネットワークの構築にチャレンジします。

(w)地域のテーマに即して実物資産を有効活用

・地域に所在する公有の遊休不動産や、収益性の低下した民間実物資産などを、地域のテーマに即して活用することで、稼動資産として蘇生させます。

(x)公的なニーズを支える主体を「官から民へ」移すことで、民が支える「公」を生み出す

・公的な価値は、官だけが担うものではありません。民間の価値選択で、自発的に公的な価値を生み、社会のニーズに応える営みを拡充していくことが、21世紀の先進社会の課題です。
・財政負担(コスト)から、人々の価値選択(バリュー)へと、この社会を支える仕組みを転換していくことで、税負担の問題を少しでも緩和することができるはずです。
・それに向けて、神奈川の各地域では、民間の活力を引き出すことで公共ニーズに対応するためのモデルを創っていきます。
・NPOなどさまざまな非営利組織などの組成や活動を推進し、寄付促進の工夫をシステム化します。
・「公」への参加を個々の住民に促し、各組織や各活動の相互間の連携・協働を促進するためのサポーティング・ネットワークを構築します。

(y)パブリックエクイティや市民ファンドなどの新たな財源システム

・利回りを求める投資ではなく、資金を出すことで実現する価値そのものを評価する人々が、そのおカネをよろこんで拠出しようする新しい投資のあり方を組み立てます。
・それが、地域で始まるストーリーを支える経済的な裏づけとなるように仕組んでいきます。