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大阪で『組み立てる改革』を中心に経済を語りました。

大阪でも、今度は朝食会の形で会合を開催しました。9月30日の午前8時半より、大阪や京都や神戸などから、50人の関西の方々のご参加を得て、良き交流の場をスタートさせることができました。


 私が成人までの間に最も長く過ごしたのは、小中学校時代の横浜市港北区の日吉でしたが、生まれた場所は京都で、旧大蔵省の現役官僚時代では、税務署長勤務も兵庫県の淡路島、1995年から97年の2年間ほどは大阪国税局で査察部長として勤務するなど、関西とは縁が深く、知人も多くいます。その後も折に触れて関西を訪れ、特に中小企業の経営者から経済のナマの話を聞かされ、それを私の政策論に反映したり、国の政策形成にも活かそうと努めてきた経緯があります。やはり、現場の声は何よりも大事です。そのような人間関係を温めながら、政治をめざして退官した後も、大阪でささやかな勉強会を続けてきました。
 今度は国会議員として、およそ国家の政策に預かる立場であればこそ、選挙区と国会を往復するだけではない、全国をベースに声を吸い上げ、考え方を訴えられる政治家を目指さなければならないという思いです。属する政党も党本部は大阪です。このような経緯から始めた勉強会でした。



 当日、私からのお話は、演題も内容も、東京での昼食会とほぼ同じでしたが、特に強調したのは「組み立てる改革」でした。人間誰もが、かけがえのない人生を背負っています。自らが長年携わってきたものを否定されれば、人は前へ動きません。目前の「小さな幸せ」にしがみつくだけです。「壊す改革」では、改革は進みません。やはり、現状に代わる「大きな幸せ」を示して、当事者が納得をもって進めるようにする必要があります。だからこそ、明確な夢とビジョンを設計することで、仕組みそのものを変える改革が必要です。そうしてこそ、おカネがあるのに回らない日本経済が、おカネが回る経済になり、デフレは克服される。既得権益に票を依存する自民党だけではできない仕事がそこにはあります。



「世話人の石川健二さんご挨拶」


 経済政策については、これだけは知ってほしいと思うポイントとして、例えば、後記のようなことを皆さまに申し上げました。ご関心のある方は、どうぞ、お読みいただければ幸いです。



「難しい話もわかりやすく」

 私の話、出席者の多くの皆さんから、「わかりやすかった」とのお声をいただき、ホッとしました。このような話なら、もっと時間をとって聞きたかったというお声もいただき、光栄の至りです。どちらかといえば、参加者どうしの交流の場にしたいという思いから、残りの時間は、質疑応答よりも、テーブルを一つ一つ回り、全員とお話をさせていただくことに充てました。
 これからも、このような機会を持っていきたいと思っています。この会の準備をサポートしてくださった方々、世話人を引き受けていただいた方々、ありがとうございました。
 ここに、当日出席された世話人の方々のお名前を記載させていただきます。

 石川健二様。杉田善右衛門様。上村多恵子様。福田修一様。



(経済のポイント)
1. アベノミクスの金融政策は、それ自体は日銀におカネを「ブタ積み」しただけのことで、実際にマネーが増えるかどうかは別問題。銀行から国債を買って日銀のバランスシートを2倍にするのが「第1の矢」の「大胆な金融緩和」の柱であるが、それは、日銀の資産の部を国債で膨らませ、日銀の負債の部のほうでは、それに見合う金額分、銀行からの当座預金を積んだもの。いわば、国債による政府の資金調達の流れが、これまでの銀行→政府という流れから、銀行→日銀→政府という流れへと、途中に日銀が介在する形に変わっただけのこと。銀行が日銀に積んだ当座預金を取り崩して企業などへの融資に回すことで、初めてマネーが増える。実体経済が良くならなければ、資金に対する需要と供給との関係でマネーが増えるという現象にはつながらない。

2. いま話題になっている消費税率の引き上げについては、97年の2%の引き上げがその後の不況につながったという議論は大間違い。97年4月の税率引き上げ直後は、その前の駆け込み需要の反動で確かに成長率はマイナスになったが、次の7-9月期の実質民間需要は巡航速度の成長に戻っている。本格的な不況の引き金を引いたのは、その後の同年11月の大手金融機関の破たんである。これを契機に日本はマネーの収縮、その後の長いデフレに突入したもの。原因を間違えてはいけない。

3. そもそも、経済では色々な要因で物価の上昇は起こる。かつてはインフレを経験した。石油価格が上がって物価が上昇するのであれば、その金額は海外への所得の流出になり、国全体として負担になる。しかし、社会保障目的の消費税で物価が上がっても、その金額分は、社会保障給付の形で国民に移転するもの。高齢化で社会保障費が増大する都度、少しずつ消費税率を引き上げれば、それは国民から国民へのおカネの移転に過ぎず、全体として「負担」ではない。問題は、消費増税の先送りで膨らんできた赤字国債。これは将来の世代に負担を押し付けてきた分であり、今回の消費増税のうち、赤字国債の発行を減らす部分が相当程度ある。この部分は、現在の世代の負担が増える。

4. こうした負担の先送りの是正の部分が、景気にはマイナスになる部分。だから、与党は5~6兆円の経済対策で景気の落ち込みを防ごうとしており、マクロ経済政策としては正しい。しかし、その対策で法人税を減税すれば、「消費増税で個人に負担をさせて企業をラクにするのか」と言われかねない。また、その対策で公共投資を増やせば、「消費増税で公共事業利権を拡大するのか」と批判されてしまう。だからこそ、松田まなぶが唱える、「政府の一般会計の3勘定への区分」が必要。

5. つまり、①将来に資産を残すものとして正当化されている建設国債を財源とする「政府投資勘定」、②消費税の税収を全額繰り入れて、不足分は赤字国債で賄う「社会保障勘定」、③その他の「経常勘定」(消費税以外の税収と、不足分は赤字国債で賄う)、の3つに一般会計を区分して、それぞれ別の論理でメリハリある財政運営を実現すべきである。社会保障の受益と負担との関係で、高齢世代、現役世代、将来世代の負担の配分を国民が納得をもって選択できるようにするのが、③の社会保障勘定。無駄の削減や行革を徹底していくのが、②の「経常勘定」。景気情勢や未来への投資の観点から機動的、弾力的に運営するのが、「政府投資勘定」(これは資本的支出勘定ともいえる)。全体として②や③から赤字国債を減らし、①は資産価値の査定とそれに見合うファイナンスをバランスシート管理で徹底していくことで、財政規律を実現。

6. これを可能にするのが、日本維新の会が唱える公会計改革。現金主義から発生主義へ、単式簿記から複式簿記へと国の財政運営を転換する。国のバランスシートは決算の段階だけでなく、予算の段階で複数年度で策定し、これを基にして年々の予算編成をする。財務省は反対しているが、このような仕組みはすでに、イギリスでも行われている。これこそが、中央集権官僚支配からの脱却のおおもとになるのであり、国民の手へと国の財政を取り戻す大改革になる。



「その後、役職が変わりましたので」



「次の機会は?」



「京都から上村多恵子さんも」



「あのときはどうも」



「お越しいただき、ありがとうございます」



「神戸からお越しいただきまして」



「私の話、どうでしたか」



「こういうことなのね。そうなんです」



「堺ではお世話になりました」



「これからもよろしくお願いします」



「がんばってな」



「ご多用のところ、誠にありがとうございました」