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 いま問われる「維新」とは何なのか。大阪にて、7月28日に経済講演を実施。「自立」の考え方を軸に、財政の大改革や国際社会におけるニッポンのあり方を提言。


 


 7月28日に大阪で行った12回目の経済講演では、「あなたは自国の誇りを世界に語れますか?」をテーマに掲げ、政治が問いかけるべき未来の希望への道筋について論じました。松田まなぶが掲げる日本経済再生策、「国民の国民による国民のための財政」、そして世界の課題解決中心国としての日本の姿は、いずれも「自立」によって描かれるニッポンの興国への道です。

 

●「維新」とは国家の進化に向けた思考の維新。

新たな政治の軸として、松田まなぶは「自立」、「独立自尊」を提起していますが、それは国家の自立であり、地方の自立であり、個人においては思考の自立を意味します。そこには日本人の生き方そのものを問いかける思想的な大革新があると考えます。

福沢諭吉が「学問のすすめ」で「一身独立して一国独立す」と説いたとおり、「独立自尊」とは明治の初期に見られた建国の精神であり、明治の原点に戻って日本が独立し、「戦後」を終わらせる。そのためには精神が独立する必要があると考えます。

「自立」がなぜ大事なのか。それは、自立から思考が生まれ、自立思考から責任が生まれ、責任から「生き甲斐」が生まれるからだと思います。しかし、「権利」ばかりを説き、それに見合う義務を謳わなかった戦後憲法が象徴するように、日本の現状は、「権利」が「責任」を上回る状況にあります。

それを象徴するのが、世界最悪の日本の財政状態かもしれません。

「自立」あればこそ、グローバル社会で日本は存在を築けます。日本が「自立」すれば、世界の課題解決センターとして、大きく貢献できる国家になれます。

だからこそ「日本復活」が大事だと考えています。それは決して過去への回帰ではありません。日本の良きもの、独自性や強さを、激しく変化していくこれからの時代に活かしていくためには、新しい時代にふさわしい形での「復活」が必要です。それは退歩でも回帰でもなく、「進化」ととらえるべきです。

「権利を超えた責任」を組み立てることに幸せや生き甲斐が創出される、そう考えるところに、これからの日本に求められる「進化」の原動力があるのではないでしょうか。

●世界の中で特別の役割を果たす日本へ、いま必要な「保守」の思想。

「権利を超えた責任」が生み出す領域が「公」(パブリック)だと思います。従来の「官」か「民」かという軸を超えて、「公」を打ち立てる。それは、新しい形へと資本主義が進化することだと思います。世界はそれを先導する役目を日本に求めるようになる。そのような時代を迎えるところにニッポンの興国が描かれると考えます。

この役目は、日本が他のどの国とも異なる特異性を有するからこそ果たせるものだと思います。政治的には、それは、日本の外から日本モデルに代わる「代案」を持ってくる「革新」の立場ではなく、自国が特異で、ときに「孤高」であることを恐れずに、日本民族として、日本文明として「未曾有な造形」を成し、世界に押し出していく「保守」の立場が担うべきものだと思います。その国際戦略こそが問われています。

世界が大きく激変する中で、変化に対応できていない日本の国力が衰退しています。日本は変化に適応しなければなりません。ダーウィンの進化論における「適者生存」の法則が示すように、変化の中でサバイバルできるのは、自ら変化できる者だけだという冷徹な真理があります。それは国家も同じです。生物だけでなく、国家も進化します。

その中で「保守」とは、日本固有の良きものや強さを守り、発展させていくためにこそ、不断の革新、改革や組み立ての努力を続けていくという立場だと思います。「革新」は、自らの固有性を捨てても理念の実現を優先する立場といえるでしょう。

●自立、国家、希望の3つがキーワード

いま問われる「保守」の役割は、新しい風で本物の「日本」を創ることにあります。それに向けた革新があってこそ、夢が生まれ、未来が語れます。その革新の先が、誇りある日本民族のストーリーであれば、それは誇りをもって次世代に語られる物語になります。

国家や国民経済が進化を遂げていくためには、進化の参加者である国民に将来への希望が必要です。国家の希望があってこそ、それを基盤に、個々人は自らの夢や希望を描き、それに向けてチャレンジする営みが生まれます。それが国家を進化させていきます。

ですから、新しい政治の軸のキーワードは「自立」、「国家」、「希望」の3つではないかと思います。

国家とは、人間の「生き甲斐」の象徴だと思います。人は何のために生きているかを象徴するのが国家です。国家への誇りこそが「興国」の土台です。戦後の日本は、過剰に「国家」を否定し、経済的繁栄のみを追求してきました。しかし、いまや日本は、グローバル社会の中で日本が新たなバリューを世界に向けて創造し続ける国でなければ、存在を築けなくなっています。

私たちは、せめて国際標準並みの「国家」意識を取り戻し、ニッポンの希望を描いていくことで、次の繁栄の道を拓いていかなければならなくなっていると思います。

●「永久国債」という発想

松田まなぶが「成長成果配当型無期限国債」(第11回経済講演の報告をご参照ください)という、一種の永久国債のようなものを提案していることの背景には、この国家意識というものがあります。

永久国債には、過去に英国のコンソル公債(consols)という実例があります。これは18世紀初めのナポレオン戦争で悪化した財政問題に対処し、債務をまとめる(コンソリデート)するために、18世紀半ばに最初に発行されたものです。元本を償還せず、金利だけを支払う国債で、当初の利子率は3.5%でした。その後もずっと、ロンドン金融市場で取引されてきたそうです。

コンソルには慰める(console)という意味もあったようです。財政悪化という国家危機を救うことを目的とした国債でありながらも、購入者には株式のような感覚、あるいは、一種の年金がもらえるという意識があったようです。

永久国債とは、自らの財産を国家に寄託する行為でもあり、私利を超えて国家に貢献し、「公」のために自らを捧げる意識と無関係ではないと思います。人の命には限りがあります。しかし、国家は違います。

なぜ「永久国債」という発想が必要なのか。それは日本人が自ら、「生きる」ということの意味を問わなければならなくなっていると思うからです。

国家とは生き甲斐であると考えるところから、個人は「永遠」という価値に到達するのだと思います。

●「ワン・ジャパン」へのインフラ投資という歴史的課題。

 また、「10年で300兆円のインフラ投資」を提案しているのも、永続する国家というものに私たち日本人が近年失っている何かを取り戻そうという発想と無関係ではありません。

 この「政府投資」ですが、かつて90年代に景気対策のために「何でもありで」バラマキが行われた際の「公共事業」とは違うものです。疑問の余地なく、日本にとって絶対に必要な政府投資をしようとするものです。

 「防災安全国家」とうテーマも含め、いまの日本に絶対に必要な社会的な実需として、政府によるインフラ投資の拡大が不可欠です。震災復興もそうですが、日本には他の先進国とは異なり、こうした未来に向けた投資のフロンティアが拡大しています。

 日本国家として今世紀の最大の課題、歴史的テーマとして浮上したのが、強靭な国土をつくるというテーマです。「国土強靭化」、「防災ニューディール」という言葉も流行っていますが、決して、公共事業利権を復活するための大義名分ではありません。

 道路や整備新幹線には色々な批判が寄せられますが、激甚災害に強い国土づくりのためには、全国的な交通ネットワークの強化が必要です。道路にしても鉄道にしても、まだ日本は、ネットワーク化が十分にできていないところがたくさんあります。

日本は一つ、インフラで「ワン・ジャパン」をめざす。助け合いで日本がつながる、それは、連帯と安心のネットワークです。

 その財源として建設国債を増発する、その前提は財政規律ですが、それは、消費税率引上げで赤字国債に歯止めをかけることで担保する、成長率が高まることでもたらされる金利上昇、それによる財政の利払い負担の増大に伴う国債増発がもたらす償還負担が財政を破たんさせないために、百年償還国債や、成長成果配当型無期限国債を導入する。

●自立思考の財政運営を。

こうした経済財政政策を講じるために必要なのが、政府の一般会計を、政府投資、経常、社会保障の3つの勘定に区分し、国民にとって受益と負担との関係が明確な財政制度へと大改革することです。それによって、国民の選択により、メリハリの利いた、効果が実感できる財政運営が実現します。

いまや中央のエリートが、国民にとってわかりにくい「どんぶり勘定」で財政を運営する時代ではありません。税負担を「お上」への上納金のようにとらえているようでは、いつまでも日本は課題解決に向き合うことはできません。

「国民の国民による国民のための財政」、これが、国民が自らの利益を考え、そのために必要な責任を納得感をもって果たしていく新しい時代の財政運営です。それはまさに「自立」です。

●大阪「21世紀をまなぶ会」7月28日(土)では…

7月28日(土)に大阪で開催した「21世紀をまなぶ会」では、以上のような経済財政戦略に加え、国際社会において世界に誇る日本のあり方とは何かについて、松田まなぶの試案を提示してみました。そのメニューについては、後記(参考)をご参照ください。

 

●第13回以降のスケジュール

第13回以降も、松田まなぶが描く日本の希望について語ってみたいと思います。

第13回は、2012年9月1日(土)16:00〜より、「自立国家への新しい選択〜消費税、原発、TPP、地方分権…対立を超えて進化する日本。〜」をテーマに開催いたします。

会場は、

大阪市北区中崎西4−3−32 タカ大阪梅田ビル5階の松田まなぶ事務所

です。

お問合せ先:「21世紀をまなぶ会」Tel:06-6375-3331  Fax:06-6375-3341

Eメール: matsuda-pri@kne.biglobe.ne.jp

経済講演は、その他、色々な機会に行っていきたいと考えています。

日本再建に向けて、できるだけ多くの方々とともに、日本の本質的な課題は何かを考え、その解決の道を模索していきたいと思っております。

 

(参考) 30年後に向けた日本の外交・安全保障のシナリオ(要旨)

○30年後、国際社会における日本とは、どのような国なのか…世界の課題解決を先導する国として、したたかな外交力と知のパワーで、大国間の利害を調整しつつ、国際平和と人類社会の繁栄をリードする国。

○日本の防衛力は倍増。アジア太平洋地域の秩序形成を、日本は安全保障面でも主導。アジア太平洋地域の安全保障機構が結成。

○日本は経済面でも、アジア太平洋地域の秩序形成を主導。FTAAPが実現していく中で日本はAPEC秩序に中国を編入。

○「アジア共通の家」とアジア共通価値の創出を主導する日本に。

○日本の歴史認識の正常化。世界から尊敬され相談を受ける指導国、ニッポン。