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 積極財政は国家「経営」から。大阪にて、6月29日に経済講演を実施。「無期限国債」を緊急提言。「維新」の本質にある「自立」の考え方を提唱。

 


 6月29日に大阪で行った11回目の経済講演では、「日本経済に希望はあるのか、次の繁栄へのシナリオ。」をテーマに掲げ、政治が問いかけるべき未来の希望への道筋を描いてみました。松田まなぶは、「10年で300兆円のインフラ投資で日本経済を成長軌道に」を、7月に公表された「たちあがれ日本」の政策宣言に盛り込みましたが、この講演では、その財政的な裏づけも含め、経済政策についても具体的な提案を行いました。

 
●新たな政治の軸としての「自立」

政局が大きく動く中でみえてきたものは、政治の対立軸の変化です。政権交代で明らかになったのは、いかなる政党であっても、政権を担えば政策は一つに収斂するということではないでしょうか。野党であれば「人気取り」で「変革」を主張しても、与党となって現実を直視し、政策に責任を持つ立場となれば、自ずと採る政策は限られてきます。

消費税増税がその典型です。普天間基地問題を巡る日米同盟路線もそうだったといえるでしょう。政権をとれば、マニフェストから現実路線に変化していく。そのような政治の姿は、マニフェスト政治のあり方への疑念を国民の間に拡大することにもなりました。

では、あるべき政治の対立軸は、「責任政党」対「大衆迎合」なのでしょうか。消費税を軸に自公に民主党が接近し、「決められる政治」を標榜する中で、小沢新党は「第三極」というよりも、「大衆迎合」軸のようにもみえます。だとすれば、それは有権者にとって有為な選択肢が生まれたことにはならないと思います。

いま大事なのは、現実に向き合う「決められる政治」の中で、これまでとは異なる新たな軸を創造することです。それは「自立」、「独立自尊」ではないかと思います。大阪維新の会は、その具体的な現われを「地方の自立」に求める動きから始まりましたが、これを国のレベルで考えれば、「国家としての独立自尊」ではないでしょうか。

石原都知事が国政レベルで新党を結成する動きは、この基本的立脚点に立ちながら、他者依存型の「戦後システム」から日本が卒業し、次の新しい国家像を日本人自らのイニシアチブで構築しようとするものだと思います。国家の自立、地方の自立、そして個人においては思考の自立。そこには日本人の生き方そのものを問いかける思想的な共通項があると考えます。

ここから新しい日本の軸足について国民に意味ある選択肢を提示するところに、「維新」の流れが位置づけられるのではないかと思います。

 

●国家「経営」とは「経世済民」

ただ、いかなる選択肢を描くに当たっても、その前提になるのが国家経営の基盤の確立です。その際、「経営」の基盤は「財務」にあり、企業が自社の財務のつじつまを示すことが「経営」の基本であるように、国家の財務運営を有権者に明確に示すことは、政治の基本だろうと考えます。その営みを日本の政治が欠いてきたことが、消費税を巡る混乱の背景にもあると思います。

松田まなぶは、国民に「見える化」された新しい時代の財政運営、を提起してきましたが、たちあがれ日本の政策宣言にも、一般会計の3勘定への区分(政府投資、経常、社会保障の3勘定)という持論がそのまま盛り込まれました。

財務の状況を明らかにしながら、「日本株式会社」の力を最大限引き出すのが「経営」であり、それが、「経世済民」につながると思います。この考えのもとに、松田まなぶは、未来の希望への筋道としての「国力倍増」を唱えてきましたが、政策宣言では「日本力倍増」という言葉で表現されることになりました。

たちあがれ日本が「10年で300兆円のインフラ投資」を打ち出したのも、松田まなぶの持論でしたが、これは、国の財務に複式簿記を導入し、3勘定への区別で政府投資勘定をバランスシートで管理すれば、決して夢ではありません。

 

●経済財政の道筋と「永久国債」の緊急提言

こうした積極財政を裏づける財政運営について、少し解説してみましょう。

誰もが景気が良くなり、日本の経済成長が高まることを望んでいると思いますが、もし、その願望が達成されて名目経済成長率が大きくアップすれば、当面は、財政が金利上昇で悪化します。これは、膨大な国債発行残高を抱えた日本経済が陥っている罠であり、ジレンマです。

つまり、金利水準は名目成長率とほぼ等しい水準になります。現在は名目成長率1%程度、1%そこそこの金利で一般会計の利払い費が10兆円ですから、例えば名目成長率が4%と何倍にも高まれば、利払い費は何十兆円レベルで増えることになります。これは国債増発を招き、国債の償還負担も増大させ、それによってさらに国債を増発せざるを得なくなる。このような状況が当面続くでしょう。

経済成長率のアップで税収も増えますが、税収増がこうした金利上昇による財政悪化を打ち消すまでには何年かかかるのではないでしょうか。10年かも知れません。

その際、この衝撃をやわらげるために、政府投資勘定をバランスシート管理して、資産の性格を個別に判断しながら、負債の側で、百年償還ルールによる建設国債、無利子非課税国債だけでなく、「成長成果配当型無期限国債」(金利をその年の名目成長率に設定し、元本は、将来、財政状態が好転した際には希望者には償還する、一種の株式のようなもの)といった国債商品の多様化で、国債費の負担を軽減していく必要があります。これは、民間の多様な資産運用ニーズに応えていくことにもなります。

これらのうち、「成長成果配当型無期限国債」は事実上の「永久国債」といってよいもので、松田まなぶがたちあがれ日本の政策宣言に盛り込んだ新たな方策です。

 

●財政を悪化させずに景気を刺激する方法

消費税の増税で景気が悪くなると心配されていますが、増税額と歳出増額とが等しければ、乗数1の景気刺激効果があるのは、経済学が教えるとおりです。

消費増税は社会保障費のためですが、5%の税率アップのうち、赤字国債発行減額に回る部分があり、そのままでは景気にマイナスです。しかし、ちょうど赤字国債発行減額分と等しい額の建設国債増発を行い政府投資を増やせば、増税額=歳出増額で、乗数1の景気刺激効果があり、かつ、年々の国債発行額は一定ということになります。

借換債を含めれば、年間170兆円の国債が発行されていますが、日本は、個人だけでなく、非法人部門を合わせれば2,000兆円をゆうに超える金融資産を有しており、対外純資産は250兆円と世界ダントツ1位を続けています。そのような日本経済にとって、国債の消化能力が低下するとは考えにくい面があります。国債を増発しても、その調整は、対外純資産の縮小という形で起こるのではないでしょうか。それは何ら問題ありません。

消費税で赤字国債に歯止めをかける道筋なしでは、政府投資の拡大は歯止めなき国債累増につながりますから、避けるべきですが、赤字国債に歯止めが見えれば、建設国債を増発する余地はあるはずです。

加えて、1981年以前に建てられた耐震性のない民間住宅などが1500万戸もあります。それらは、経済の先行きが不透明な状況下では、更新需要として顕在化していません。耐震・免震構造への建替えについて政府が補助をつければ、この需要が顕在化するでしょう。それによる民間建設投資は、10年で600兆円にのぼるという数字もあります。これなら、国債増発なしに税収増を期待できます。

建設国債増発による政府投資でマネーの回転に弾みをつけ、経済成長期待が高まれば、こうした民間投資需要が力強く発現していき、国債費の増大を打ち消す税収増の効果がより近いうちに現れることになると思います。

 

●大阪「21世紀をまなぶ会」6月29日(金)では…

6月29日(金)の夕刻に大阪で開催した「21世紀をまなぶ会」では、以上のように、たちあがれ日本の政策宣言の策定に携わった松田まなぶが、経済財政政策に関して、自らのどのような考え方を党の政策に反映させたかを中心にプレゼンをすることになりました。(その結果、副題として掲げた「経済力倍増と環境・エネルギー・農業。」については、次回以降に回すことになりました。)

なお、前記の「事実上の永久国債」の概要については、後記(参考)をご参照ください。

 

●第12回以降のスケジュール

第12回以降も、松田まなぶが描く日本の希望について語ってみたいと思います。

この「21世紀をまなぶ会」、次回以降は下記の日時で予定しております。

第12回  2012年7月28日(土)16:00〜 テーマ「あなたは自国の誇りを世界に語れますか?〜国際社会における30年後のニッポンと日本人を構想する。〜」

第13回 2012年9月1日(土)16:00〜 

会場:大阪市北区中崎西4−3−32 タカ大阪梅田ビル9階 セミナールーム

お問合せ先:「21世紀をまなぶ会」Tel:06-6375-3331  Fax:06-6375-3341

Eメール: matsuda-pri@kne.biglobe.ne.jp

経済講演は、その他、色々な機会に行っていきたいと考えています。

日本再建に向けて、できるだけ多くの方々とともに、日本の本質的な課題は何かを考え、その解決の道を模索していきたいと思っております。

 

(参考)成長成果配分型の「永久国債」概要

○償還期間を定めない無期限国債とする。

○金利は、当年度の名目経済成長率と同水準。X年度の名目経済成長率が3.5%だった場合、額面100万円分の同国債保有者には3.5万円を成長配当クーポンとして支給。

○財政の側で利払い費負担が発生するのは他の国債と同じだが、無期限なので、元本償還を先延ばしできる。その間、減債制度(定率繰入)の対象から外し、元本償還のための負担やそのための国債発行は不要とする。

○但し、いずれ財政状態が改善した際には、国債保有者の要請に応じた元本返済を開始。例えば、20年後の2030年代前半に政府経常勘定の黒字が達成された段階から、元本償還を可能にする。

○元本償還のために借換債の発行が必要な場合は、100年償還ルールを適応し、償還負担を極力小さくする。

○この国債を広く国民が保有することで、日本経済の成長と、それによる日本財政の改善ということへの利害関心者、ステークホルダーの厚い層を形成。国益は自らの利益に直結するとの発想に。