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TPPを国家の在り方を考える契機に。大阪で日本のマネー戦略を議論。 

 

12月2日、松田まなぶは、大阪にて4度目のセミナー講演をいたしました。掲げたテーマは「国際社会における日本の存在をどう再構築するのか。

〜世界新秩序へ、国家路線の選択と日本のマネー戦略〜」。世界の中で、日本はどのような国を目指すべきなのでしょうか。いま話題のTPPの議論も、こうした国家路線の選択と切り離せません。欧州債務危機など揺れ動く国際情勢にあって、日本のマネー戦略も同様です。将来に向けた日本のストーリーがますます必要になっています。





 大阪での「21世紀をまなぶ会」の定例勉強会も、第4回目の開催となりました。

 今回は、まず、国際社会の中で日本が置かれている状況を大きく俯瞰してみました。一つは、国家安全保障の問題です。太平洋〜南シナ海〜インド洋など、日本を取り巻く、あるいは日本にとって重要な海が、中国の軍事戦略展開の場になっています。ロシアも太平洋進出を戦略化しています。米国は世界戦略の重点をアジア太平洋地域に移し、今まで以上に日米同盟の重要性が増しています。

 これまで安全保障への責任意識を欠いた日本も、自らの繁栄と安全保障を専ら米国に依存するわけにはいかなくなってきました。自立的な思考で自らの命運を自己決定する国になる必要が高まっています。英国型、独仏連合型、スイス型など、国家路線にはさまざまな選択肢の類型がありますが、最低限、日本は世界の課題解決モデルを生む「ソリューションセンター」として、国際社会の中での独自の存在を築かねば、将来への道はないと思います。

 そのことと、日本のマネー戦略は一体です。日本が世界最大の対外純債権国であり続けている背景には、日本が国内で有効なマネーの使い道を組み立てられていないということがあります。結果として海外へと溢れ出たマネーが世界の過剰マネーの一因にもなってきました。世界のマネーバブルがリーマン・ショックと欧州債務危機をもたらし、世界を不安定化させています。米ドル基軸通貨体制と、それが可能にしてきた米国中心の資金循環構造のもとで、日本は、米国にモノとカネをせっせと供給するアリ、米国は、それによって高い水準の経済活動と投資収益を享受するキリギリス、という構造が続いてきました。

 日本はそろそろ、悲しいアリの物語から卒業し、汗水垂らして築き上げた資産を自らのために有効活用することで、新しい豊かさを築かねばならないと思います。そのことを、「課題先進国」という日本の在り方と結びつけるべきです。日本は、人類が直面する共通課題に世界で最初に直面し、その先駆的な解決を迫られる国になっています。その使命を果たすことによって、日本は世界の需要創造者、市場開拓者としての貢献をすることにもなります。

 そうした営みが、戦略的意思を持った「日本マネー」を創出することでしょう。これまで、日本の過剰マネーが金融市場での単なる有利運用に向かうことで、世界に振り回される日本という姿をもたらしてきましたが、そこからの卒業が必要です。悲しいアリの物語は、近年では東アジア地域全体に共通のものになっています。東アジアの貯蓄超過、黒字は、米国債よりも、より有利かつ有意義なアジア地域内の投資に向かうようにしなければなりません。

 されど、アジアには未だ、それだけの金融機能が整っていません。日本の役割は重要です。日本は自らの資産ストックを国内でマネーとしてフロー化するだけでなく、広くアジアの貯蓄を、アジア域内のインフラや社会建設などに向かうマネーに変換する「金融仲介」のセンターになるべきだと思います。そのためには、日本が国内での課題解決を通じて得られた知恵やノウハウ、技術やシステム設計などのソフトを付加価値とする魅力的なマネーを生みし、それをもって、単なる有利運用とは異なる、エクイティー(所有権)を取る戦略的マネーにバージョンアップしていく営みが必要です。

 このことが、日本が真の「黄金の国、ジパング」として新たな繁栄の築く道を拓くと思います。そして、その基礎になるのはやはり、松田まなぶが主張している「日本新秩序」に向けた日本人のチャレンジです。日本新秩序が世界新秩序につながっていく過程において、日本は新たな存在を構築する。こうした戦略的投資国家への脱皮のために、TPPもしたたかに活用するぐらいの知恵と戦略性を日本は持たなければならないのではないでしょうか。


 今回も、参加者の皆さまには熱心に議論に参加していただきました。

 この「21世紀をまなぶ会」、次回は下記のテーマと場所にて、2012年1月14日(土)16:00開始で予定しております(17:00頃より、軽い飲み物などで懇談会も予定しています)。

 テーマ:2012年の日本、10年後のニッポン。〜迫る選択のとき、新たな経済財政政策を組み立てる〜

会場:大阪市北区中崎西4−3−32 タカ大阪梅田ビル9階 セミナールーム

お問合せ先:「21世紀をまなぶ会」Tel:06-6375-3331  Fax:06-6375-3341

Eメール:matsuda-pri@kne.biglobe.ne.jp