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TPPで問われる国家としての矜持と戦略性。大阪で日本の在るべき姿を議論。 

 

松田まなぶは、11月4日に、大阪にて3度目のセミナー講演をいたしました。掲げていたテーマは「地域の再生と日本の再生を設計する。〜健康(医療・福祉)と食と環境...新たな「協働体」で経済を活性化〜」でしたが、議論は日本のTPP参加問題に集中しました。日本が直面している問題について、果たして本質的な論点は何なのか、私たちは本当は何を議論しなければならないのか、今、人々の大きな関心がこの点に向けられていると思います。参加者の皆さまと熱心な議論を交わすことができました。




 大阪での「21世紀をまなぶ会」の定例勉強会は、第3回目の開催となりました。

今回は、前回までに提案した「日本新秩序」の具体的なイメージを議論するため、日本がこれから追求する21世紀の価値として、「健康」、「食」、「環境」をテーマに、地域再生の「設計」の在り方を提示する予定でした。

 しかし、議論の大半を割くことになったのは、今まさに国論を二分するTPP参加問題でした。TPPで問われているのは、農業か輸出製造業かという利害の問題ではありません。これからの日本をどう組み立てるのかという課題です。東日本大震災を契機に、日本は日本ならではのやり方で「日本新秩序」を形成する。それを、いずれ世界新秩序へとつなげる大きな流れにしていこう、だからこそ、国際スタンダードの形成に主体的に関わるチャンスとしてTPPを捉える必要がある。これが松田まなぶが提示した論点の一つです。


 10月にバヌアツ共和国を訪問した際に、最も驚いたのは、オーストラリアの東、南太平洋のこの小さな島国にまで、中国の進出が著しかったことです。中国マネーだけでなく、軍事面でも中国が着々と布石を打っていることが読み取れました。アジア太平洋の国際秩序の中で、日本が自らの安全保障と繁栄の基盤を構築していくためには、その秩序が、中国が主宰するものであってよいのかという点も、よく考えなければなりません。そのような大きな視点で国家戦略を構築することを忘れていられるほど、日本が置かれた状況は甘いものではないと思います。

 TPP反対派の方々には誤解も多く、その代表的な事例として、農業、米国によるマネー支配や、ヒトの流入など、個別の問題についても、より正確な情報を提供しました。例えば、10年後の関税原則撤廃で日本の農業が崩壊すると考えるのは適当ではありません。真の食料安全保障を考えるなら、10年後に向けて日本農業を立て直さなければならないはずです。それは、TPPとは無関係に日本に問われていた課題です。

 意外だったのは、これだけ反対論の多いTPP参加について、多くの方々が肯定的に考えていることです。原発問題についても論じましたが、果たして「脱原発」という逃げの姿勢でいいのかという点も、多くの参加者の意見として伝わってきました。

 日本の国の行方を考えれば、弱い国家ニッポンを前提にせず、自立と自己決定を旨とする国家として、未来に向けたチャレンジが必要だ、そのような日本人の姿勢こそが問われている。皆さまと、概ねそのような認識で一致したように思います。

 必要なのは、そのことについて国民に分かりやすいメッセージを伝える政治の側の努力だという意見も多く出されました。国民に意味ある選択肢を提示するために、新たな政治の軸を形成することが求められていることが、改めて確認されました。

 今回、参加者の皆さまには熱心に議論に参加していただきました。たとえ地味であっても、真実を共有するために、こうした真面目な勉強会の開催を多くの方々が求めていることがよく伝わってきました。