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櫻井よしこさんをゲストに迎えて、第8回の松田まなぶと語る会を開催いたしました。 

 2011年11月10日(木)18時30分より、横浜市開港記念会館にて、「第8回松田まなぶと語る会」を開催いたしました。
 今回のテーマは、「日本の在るべき姿は何か〜日本新秩序へ、再構築のとき〜政治と有権者に問われる覚悟〜」でした。日本がさまざまな国難に直面する中で、ゲストスピーカーの櫻井よしこさんの講演は、私たちの気持ちを大いに鼓舞してくれました。会場は満入りの盛況となりました。



  

 次回第9回は改めてご案内いたします。議論してほしいテーマについて、皆さまのご希望をぜひお寄せください。

 今回の松田まなぶと語る会では、日本が本来、目指すべき国家像は何なのかについて議論をしてみようと考えました。そこで、このテーマにふさわしい方として、皆さまもご存知の櫻井よしこさん(国家基本問題研究所理事長・ジャーナリスト)をゲストスピーカーとしてお呼びしました。櫻井さんは、松田まなぶが日頃、国家基本問題研究所の企画委員会などの場で、大変お世話になっている方です。会は、福岡孝純・帝京大学教授の司会で進められました。


 櫻井さんからは「この国の行方−日本のあるべき姿−」を演題に、ご講演をいただきました。日本を取り巻く国際情勢や安全保障の問題、太平洋の西側半分からアメリカを排除してここに支配権を確立ようとする中国の長期戦略、国や自国民を守ることもできず、国家の体をなしていない日本...、やさしい語り口でありながらも重みのある言葉から、日本人として今、本当に考えなければならない課題が次々と提示され、その説得力は会場の皆さんを引き込んでいきました。

 櫻井さんが指摘するように、戦後の日本がアメリカに依存する中で、日本人は他人依存の無責任な国民になってしまったようです。それは、国家の在り方を自分で決めるべき憲法までもが、米国によって作られたまま今日に至っていることが象徴しています。憲法の中身よりも、まずは、憲法改正を事実上困難にしている日本国憲法第96条を、より改正しやすいものに変え、「自主憲法」に向けて国民が議論できるようにすることが、日本が真の自主・自立国家となる上で必要だという、櫻井さんの持論が展開されました。

 確かに、私たち日本人が戦後、忘れていた国家としての矜持や自覚、それはどの国もが当然のように持っているものですが、そのような健全な国家意識と、責任感覚を取り戻すことが、国家再建の第一歩だと思います。櫻井さんが指摘するように、日本人は本来、自分の利益だけではなく、他者や公のことを考える意識など、さまざまな美徳を持っていました。戦後は、歴史認識まで歪められ、戦後教育の弊害のもとに、精神面での自立までも喪失した私たち日本人が、自らの在り方を再認識し、日本らしい日本を再構築するところにこそ次の日本が描かれるのは、そのとおりだと思います。

 会場からは、TPPに関する質問が出ました。それに対する櫻井さんのお答えは、「日本男子でしょ、がんばって!」心を打つ言葉でした。なぜ、私たちは弱い国家ニッポンを想定しなければならないのでしょうか。自分の頭で考え、したたかに戦略を遂行できる国に日本だけがなぜ、なれないのでしょうか。敗北主義の蔓延から脱却しなければ、今、日本に与えられたせっかくのチャンスを活かせません。


 最近、国家基本問題研究所は、主要全国紙に、脱原発に反論する広告を打ちました。決して原発推進ということではありませんが、国際社会での責任を果たし、世界の原発の安全を確保するためにも、日本は当面は原発を堅持すべきことを訴える、勇気ある発言でした。今回、会場には、福島県からのご一行が櫻井よしこさんに自分たちの本当の気持ちを伝えたいとして、来場されていました。原発を忌み嫌うだけでは地域の再生はない、前に向けて進んでいこうというのが、地元の多くの人々の考えだという訴えでした。認識を新たにしました。

 TPPにせよ原発にせよ、逃げの姿勢ではなく、今、日本人としての生き方が問われている。櫻井さんの講演からは、そのようなメッセージが伝わってきました。





 さて、櫻井さんのあとは松田まなぶがご講演を受け継ぎ、私たちが本当に考えるべき論点は何かを提示いたしました。TPPも、国際スタンダードの形成に日本が参画し、そこに自国の国益を反映させるチャンスと受け止めるべきです。「日本新秩序」を世界新秩序へと発展させる上で、それは欠かせません。敗北主義に陥るあまり、中国が主宰するアジア太平洋秩序に日本が組み込まれる道を選んでいいのでしょうか。

 日本が追求するのは、アメリカとも中国とも異なる独自の存在構築の道です。松田まなぶは、これを、「不老長寿の国、日本」(健康と社会参加という価値)、「豊葦原瑞穂の国、日本」(安全安心、世界一おいしい食、生活の質)、「日出国、日本」(循環型システムと環境、太陽が象徴する自然エネルギー、海洋国家)、そして、これらを通じて真の「黄金の国、ジパング」(莫大な凍結金融資産ストックをフローへと活かす)を実現することだとして提案してきました。


 そして、今回の震災で「日本」に目覚めた私たち日本人は、「エコノミュニティー」(新たな価値を経済的なつじつまが合う仕組みで、共助の場を通じて実現する)を通じて、日本のやり方で世界にソリューションを提示する国になることを目指す。

 こうした松田まなぶの「日本新秩序」の主張が、櫻井さんのご講演のおかげで、会場の皆さまにも、以前にも増して共有していただけたと思います。

 権利と義務のバランスが言われますが、戦後の日本では権利の伸長と、その平等な保障は主張されても、権利と義務の関係については、著しく不均衡になってきました。義務を責任という言葉に置き換えると、権利と責任の均衡を取り戻すだけでなく、自らに与えられた権利とバランスする以上の責任を考える、そうした責任の領域からこそ、さまざまな新たな価値が創出され、次の日本が切り拓かれる。

 もし、「革新」が、人類普遍の理念として権利の伸長と平等を目指す立場だとすれば、「保守」は、「責任」を考える立場なのかも知れません。「保守」という言葉がふさわしいかどうか分かりませんが、そのような立場を基本にした政治の軸を新たに形成する必要があるのではないでしょうか。

 会場から松田まなぶに対しても、色々な質問が出ました。「TPPにはさまざまな問題がある、アメリカにやられる、リスクが大きい...。」予想された声でした。

「リスクを恐れて逃げの姿勢で既得権益にヌクヌクしながら安楽死を待つ国家を選ぶのか、リスクを恐れず、次の日本に向けてチャレンジする日本となることを選ぶのか、いずれかの選択を私たちは迫られている」松田まなぶから、そう答えさせていただきました。

 そして、本物の保守とは、本来の良きものを維持し、発展させるためにこそ、革新と組み立てを営む立場であると、主張させていただきました。松田まなぶの基本的な立場がよくわかったとのお声もいただきました。

 これからも皆さまと一緒に、「日本新秩序」の中身を組み立てていきたいと思います。ご意見をぜひ、下記までお寄せください。

 次の第9回松田まなぶと語る会は、年明け以降になりますが、日時等が決まりましたら、改めてご案内申し上げます。できるだけ多くの方々の疑問に応えながら、双方向の議論づくりを心がけたいと考えております。皆さまから、こんなテーマや素材を取り上げてほしいというご意見を募っております。身近な問題から、グローバルなテーマまで、どのような話題でも結構ですので、下記まで、ご自由にお寄せください。

メール: nipponsaiken@gmail.com

ファクス: 045-228-7864

 皆さまからのお声をお待ちしております。