本文へスキップ
 

対安倍総理マイナンバー法案質問内容

2013年4月26日 内閣委員会

松田 学



 マイナンバー法案が成立すれば、日本の社会運営にとって極めて重要なインフラの一つが整備。
 日本社会の将来のあり方を決める可能性。これは未来に向けたインフラ投資。人類史上未曽有の超高齢化社会がどのような社会になるかとも大きく関係している。
 政治は未来を描くものであり、どのような国家像、社会像を描き、それをこのように機能させるためのインフラとしてマイナンバーが必要との説明責任が政権にはある。
 この際、総理ご自身がどのような未来像を描いているかをうかがいたい。




(問1) 日本がこれから人類史上未踏の超高齢化社会へと進む中で

@「高福祉-高負担」、「中福祉-中負担」など受益と負担の関係についてはいかなる類型を目指すのか
Aその際の国民負担率や消費税率をどう想定しているか
B自助、公助、共助のバランスをどう考えているのか、2020年頃を想定した日本の将来像についての総理の認識を問う。


「戦後システム」では、個人と国との間に終身雇用制の企業組織が中間組織として機能。
これが格差の拡大を防いでいた(福利厚生、人材教育・育成でも)。
しかし、個人を覆う不確実性を吸収してきた終身雇用企業システムが90年代から徐々に崩壊
 ⇒これに代わるシステムとして北欧型(国家が個人)か日本型共助かが議論。


 負担の問題は、これから起こる日本の異常な人口構成のもとでは、若年世代の人口比率が他国に比べて著しく低くなるため、今のシステムのままでは「中福祉-高負担」とならざるを得ない。 →これを少しでも緩和すべくコミュニティーの機能を充実させ、民の力による共助で社会保障を組み立てることが必要。これによって、将来の消費税率引き上げをどの程度抑えていくかが課題。
 ⇒この点を重視するなら、マイナンバーは大きく貢献し得る。


 地域医療福祉ネットワーク(医療の機能分化と統合を基礎に)、「高齢者見守りシステム」、中心市街地を高齢化社会の拠点化。
 現在のところ、マイナンバー制の分野は税、社会保障、防災の3分野に限定する方向となっている。また、民間事業者は「情報提供ネットワークシステム」を使用できないこととなっている。
 これを、バルト3国のエストニア共和国のように、IT国家をめざす中で、医療も年金も銀行も一枚のカードでOKという高度に利便性の高い社会を目指していくのか。あるいは、高福祉・高負担のスウェーデンが個人データの一元管理で、「データ監視社会化」し、番号の汎用性が高いゆえ、成りすましが急増するなどの弊害が目立つことにもなったが、そのような方向性を指向するのか。
 もし、日本型の「共助」を組み立てるなら国家による一元管理ではなく、マイナンバー制を、コミュニティー、民間、自治体ごとに作られる各番号制度と接合させていく道が適当ではないか。そのためにも将来の見直しに当たっては、接合性を念頭に置いて考えていくことが重要ではないか。
 ⇒いずれにしても、マイナンバー制度の先に、どのような社会を目指すかが重要な論点。



(問2) 国民の利便性や未来の社会のあり方との関係で、社会インフラとしての個人番号制が持つ将来の可能性を、総理はどの範囲まで広げていくことを考えているのか。

 共通番号制にはいろいろなデメリット、問題があろう。国家による一元管理への懸念や情報漏えいリスク。問題点を挙げだしたらキリがないだろう。
 何事にもリスクが伴う。個人情報の漏えいという意味で「想定外」の事態もあり得る。
 だからといって何もしないようでは、社会の進歩はない。
 物事は、メリットとデメリットとの比較考量の中でしか決められない。デメリットがあるからと言って逃げていては、「答」にならない。
 ソリューションは、メリットを大きくし(未来を描く)↑>>>デメリットを極小化↓するところにしかない。
 ⇒1つは、デメリットを乗り越えるメリット、夢を国民に対して描かねばならないはず。
 ⇒もう一つは、デメリットを極小化させるマネージメントを確保すること。
  我々政治家がこの法案で何を議論し何をそ こに付け加えるのかは、この点にある。
 ⇒日本維新の会が提案した附帯決議は、そのような趣旨。

・デメリットを極小化させるための措置について政府に要請。

1)多くの事故はヒューマンエラー
 ⇒これを防ぐ ⇒人材育成と関係職員のモラル向上

2)不正やエラーに対する制裁を強化する
 ⇒守秘義務について一般の公務員を上回る厳罰化を検討していただく。

3)政府CIOの責任の所在を明確化し、少なくとも3年を超えてできるだけ長期の任期。政治家はポストを頻繁に替わるし、役人も通例、2年ぐらいの任期でコロコロ移動する。これが真のプロフェッショナルを育てず、問題を先送りし、庭先をきれいにするという、政府の無責任体質や長期的戦略性の欠如の原因。マイナンバーのような長期にわたって発展し半永久的になるシステムには人事異動の論理は通じない。

4)マイナンバーシステムの構築の過程で、本法律の立法に携わり、こうした課題を投げかけた国会が進捗状況をチェックしていく。長期にわたって責任を持つ政府CIOが国会に報告。
・こうしたデメリット極小化の一方で、メリットの極大化として国民に夢を提示する。

5)3年後の見直しに向けては国民に十分な説明や周知・説得。

6)これからのシステム整備に当たっても、将来の見直しの際のことを十分に考慮に入れて、ムダな投資にならないようにすること。

 ⇒建設的提案をする野党のあり方としての日本維新の会からの提案。



(問3) マイナンバー制の持つ情報漏えい等のリスクを極小化していく上では、その根本における組織マネージメントが重要であり、関係職員の教育・育成、守秘義務違反に係る厳罰化、政府CIOの責任の所在の明確化と任期の長期化などの措置が必要と考えるが、総理の見解如何。

今回の法案修正で「行政運営の効率化」を前面に強調している。
但し、数字の上では、日本は主要先進国で最も小さな政府。
 ●人口当たりの、公的部門で働く職員の数はG5の中で比較すると日本は極端に少ない。
 ●日本の総労働力人口に占める一般政府雇用の割合は5%、OECDの26カ国の中で最低、
  日本の【公務員数の割合は先進国で最も小さい】
 ●一般政府の雇用者報酬の対GDP比は6%、OECDの28カ国の中で最低、
  日本の【公務員人件費は先進国中で最も安上がり】

 マイナンバーによる行政事務効率化で人員がさらに浮くことが期待されている。それによって、さらに政府をスリム化することも選択肢だろう。
 しかし、先進国の中では最もカネのない政府。
 政府がこれだけ小さいと、本当に必要な部門に人員が十分でない可能性があるのではないか。浮いた人員を単に削減するのではなく、行政サービスの向上など政府部門の人材活用に回すことも含め、行政運営の「効率化」にはいろいろな意味があり得る。

 日本でいま必要な「行革」とは、公務員の定員削減など「量的」な行革よりも、限られた人員を有効に活用するという文脈のもとでの効率化で「機能する政府」にすることではないか。
 今回のIT改革との関連でいえば…、
 現在、政府には1,500ものシステムがある⇒それをオペレーションレベルで統合運用。例えば、旅費の支給など、各省庁バラバラを統一。
 ITで横串を通すことで、機能する政府への行革が可能。 



(問4) 行政改革に当たっては、公務員数の抑制などの量的側面だけでなく、電子政府化も視野に入れつつ、効率的で機能する政府に向けて質的な側面での改革を進める必要性が高まっていると考えられるが、安倍政権はどのような基本思想で行政改革に取り組む所存なのか。
 
 かつて入省間もない頃、グリーンカード制の導入が政治主導で阻まれた。当時、ある大物政治家は「水清きところに魚棲まず」と述べていた。
 当時若者だった私、やはり、日本社会にはウラ、アングラと言われるものがあって、それがないと機能しないのだとの印象。

 その後、プライバシー、個人情報保護という理念が浸透し、今はその面から反対。
 しかし、今はむしろ、東日本大震災で新しい価値観が高まっている。安心社会という価値。すでに防災対策に使うのもそうだが、プライバシーは保護の一方で、個人の状況をどこかが把握してくれているという意味での「安心」の価値も。
 さらにもう一つの価値が、「自立」ではないか。「自立」は自己の状況を自ら正確に把握するところから始まる。
 自分が国や自治体との関係で、どの程度の負担をどの程度しているのか。それは民主主義の基本。受益と負担との関係で国民自らが政策を選択できるための基盤。
 1940年体制という言葉がある。軍事資金調達のために国家が個人も企業も中央統制システムの中に組み込んだ。源泉徴収もその一つ。「戦後システム」は経済システムの形でそれを引き継いだ。
 日本人の政府や企業組織への「依存体質」が強まった。
 消費税導入の際にはネットで2.6兆円もの史上最大の減税だったが、源泉徴収で税務申告をしないほとんどの日本人は、そもそも自分がどの程度所得税を納めているかすら把握していない。
 減税の恩恵は目に見えない。他方で消費税は目に見える負担増。
 税の痛み、痛税感が薄いのが間接税のメリットなのに、日本では間接税が直接税、直接税が痛税感の薄い間接税に。
 マイナンバー制は、マイポータルの導入によって、税も社会保険料も、自らの負担の全体像は自分だけが把握できるようになるもの。
 「戦後レジームからの決別」には、「自分の負担がわからないから、負担の軽減だけを国に求め、受益は既得権と考える他者依存の体質」からの決別も含まれる。



(問5) 日本で個人番号制度の導入が他国に比べて遅れた理由は何だったと考えるか。「総背番号制」への警戒心が強い中にあって、マイナンバー制度は国民の意識にどのような変化をもたらすと考えているか。今後、マイナンバー制度を普及、定着させていく上で、総理は国民に何を訴えていくつもりか