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 今回の総選挙は日本にどのような課題を示したか。1月12日に大阪にて経済講演を実施。新年を迎え、衆議院議員として国政の「維新」に向けた決意を表明。


 経済講演


 総選挙で中断していた経済講演を再開、今回で第16回目となりました。選挙戦を総括しつつ、そこから浮き彫りになった日本の課題について論じながら、「日本維新の会」が提唱する「強く、賢く、したたかな」ニッポンの意味を解き明かしました。その後、会は、新春のご挨拶も兼ねた懇親の場となりました。

 

●興国への決意と実行へ、「脱皮」の年。

会ではまず、松田まなぶより、今回の総選挙に出馬し、当選に至った経緯についてご報告しました。

「たちあがれ日本」から「太陽の党」へ、そして「日本維新の会」との合流へという政党の動き、小選挙区ではなく南関東比例ブロック単独での立候補となった自らの出馬の経緯、比例候補者として選挙戦をどう戦ったか、当選後、国政に入って感じたことなどを申し上げました。その上で、新年を迎えて、今年の政治の課題は何なのかについて、いくつかの論点を提示させていただきました。

その概要は、本HP年頭所感にも掲載させていただきましたが、今年は、新たなニッポンへの脱皮に向けた「組み立て」を開始する年であり、それを担うべき政治はこれまでの人気取り政治から課題解決型の政治への脱皮を迫られていると考えます。

そうした変化への潮流は、すでに今回の総選挙で有権者に接しながら、国民の意識変化として感じられたところでした。消費税に反対、原発に反対、TPPに反対…、しかし、それを言っていても答はありません。だったら、どうするのか。大事なのは課題にきちんと向き合い、答を出す政治です。

票ほしさに真の課題を隠ぺいする政治に、有権者は愛想を尽かせています。


●今回の選挙結果と民意

 ただ、今回の選挙結果は、「日本を取り戻す」を掲げた自民党への回帰でした。

これは信を失った民主党への批判がそのまま現れたものではありますが、かつて自民党政治にNoを突き付けた有権者にとって、それが果たして積極的な選択だったのか疑問です。「取り戻す」としている「日本」がどのような日本なのかも明確ではありません。民主党は懲り懲りだが、自民党に戻るのでは元の木阿弥、もう少し新しい選択肢はないのか、それが多くの有権者の気持ちだったのではないかと思います。

そこで期待されることになったはずの「第三極」が選挙では多党に分散し、民意の新たな受け皿として強い「風」を起こすに至りませんでした。そのことが投票率を低下させたことと相まって、こうした消極的な選択を帰結したとも捉えられるでしょう。そして、もう一つ、現行の小選挙区制にも問題があったのは事実です。

極端から極端へと選挙結果がブレる小選挙区制の弊害を緩和するものとして、今の制度では、政党そのものを選択肢とする比例代表制が機能しています。今回、「日本維新の会」が曲がりなりにも衆院第3党に躍進できたのも、主として同党が比例で議席を確保できたからでした。

比例では、自民党の得票率は、同党が大敗した前回総選挙とほとんど同じであり、投票した有権者の7割以上が今回も自民党を支持していなかったことになります。より政党選択の色彩の強い参院選が本年7月に行われますが、これは自民党が少なくとも今回のような大勝を参院選では収められないことを予兆しているといえます。

これは逆にいえば、今回の総選挙の結果は、1選挙区で1人しか当選できない小選挙区制のマジックが機能したことによるものであって、民意を正確に反映したものではないことを意味しています。

選挙制度のあり方については、特に国民の価値観が多様化した成熟社会となっていることも踏まえながら、再考すべき点が多々あると感じます。


●新しい政治の軸とは?-維新は野合ではなく「新結合」

 今回、太陽の党(たちあがれ日本)と大阪維新の会が総選挙を前に合流したことについては、政策的一致のない野合との批判がありますが、必ずしもそうは言い切れないと思います。むしろ、新たな政治の軸の形成に向けた「新結合」ではないでしょうか。

経済学の世界では、イノベーションの源泉は「新結合」、つまり、異質だったものどうしが有機的に結びつくことによって新たな価値が創出されることにある、とされています。

よく考えれば、これまでの政治の対立軸とされてきた、保守対革新、あるいは、左か右かという捉え方自体が、時代に合わなくなっています。対立軸自体が変革を求められているこんにち、もしかすると、左か右かではなく、後ろか前か(既得権益にしがみつく縮小均衡か新しい枠組みへと前進する拡大均衡)か、あるいは、供給者側か消費者(ユーザー)側か、といった軸が新たな対立軸として求められているのかもしれません。

その中で、同じ保守でも前を向く「改革保守」が日本維新の会といえるかもしれません。

いずれにしても、1月28日から始まる通常国会で、同党がどれだけ斬新な独自色を出しながら、「ふわっとした民意」の立場に立ちつつ、現実的で着実な革新を実現していけるかが問われていると思います。

そして、おそらく、その次に来るのが、課題解決型の「組み立てる改革」を担う政治勢力への「脱皮」だろうと考えます。


●問われているのは、これまでの対立軸を超えて真のソリューションを示す政治


松田まなぶ

 消費税も原発もTPPも、賛成か反対かの二項対立の罠に国論がはまっているだけでは、課題解決に進みません。

 「増税の前にやることがある」のは当然です。やることをやっても、増税をしなくてよくなるわけではありませんし、増税だけが持続可能な社会保障システム設計の答ではありません。巨額の凍結金融資産をはじめ、日本の潜在パワーを社会保障にどう活用するかを考える「賢い」システムの組み立てが必要です。

脱原発もそうです。国民のほとんどは脱原発を望んでおり、そのこと自体はもはや、意味ある対立軸となる論点ではありません。重要なのは、原発に頼らない社会を実現できる新エネルギー体系の構築です。海洋資源にも恵まれた日本がその面で世界最先端国家になることにこそ、原発問題の答があります。

TPPもそうです。人口減少国が超高齢化社会に耐え抜くためには、アジア太平洋地域を自国の繁栄基盤としていく以外に答はありません。国際的な経済秩序づくりに自国の国益を反映させる賢さとしたたかさが問われています。

 これまで、潜在力に満ち溢れながらも、それが発揮されないまま「失われた20年」を経過してきた日本に求められているのは、日本のパワーを引き出す「知恵」だと思います。だからこそ、日本維新の会が唱える、「賢く、強く、したたかな」というテーゼが意味を持ちます。


●第16回の「21世紀をまなぶ会」では

 日本が直面するさまざまな個別問題の根っこにあるのは、国力の全般的な衰退であり、時代に合わなくなった既存のシステムの組み替えによって日本固有の潜在力をいかに引き出すかが問われています。この動きを始動させるために、国家の希望に向けたストーリーを描き、「日本力倍増」へと人々を動かす、それが松田まなぶが考える「維新」です。

当選祝いの意味も兼ねて多くの関西の知人の方々が駆けつけてくれた今回の経済講演では、こうした政治家としての決意に加え、総選挙後に日本経済の雰囲気をガラリと変えることになった「アベノミクス」で舞い上がる日本経済の先行きについても論じました。

確かに、政府投資の拡大それ自体は今の局面に必要な政策ですが、おカネをばらまけばデフレが克服できるものではありませんし、実体経済の成長の道筋を欠いた2%の物価上昇率目標は、悪い長期金利上昇につながり、財政破綻と金融収縮をもたらすリスクがあります。日本経済はもはや、円安になれば良いという経済構造でもありません。

この点については、参加者の方々からも色々な意見が出ました。

講演のあと、会は懇親会へと移行し、皆さまと忌憚のない意見交換を行うことができました。1月28日からの通常国会での論戦に反映させていきたいと思います。

一枚目の写真、晴着姿の女性は、松田まなぶを長年にわたって応援してくださっている京都の上村多恵子さん(京南倉庫社長)です。

●今後の経済講演

第17回は、以下の要領で開催します。

2月2日(土)講演開始16:00

テーマ:アベノミクスで日本経済はどうなるか。〜新政権の予算と税制から浮かび上がるニッポンの次なる課題〜

会場:大阪市北区中崎西4−3−32 タカ大阪梅田ビル5階の松田まなぶ事務所

お問合せ先:「21世紀をまなぶ会」Tel:06-6375-3331  Fax:06-6375-3341

Eメール: matsuda-pri@kne.biglobe.ne.jp

経済講演は、その他、色々な機会に行っていきたいと考えています。

今後とも引き続き、日本再建に向けて、できるだけ多くの方々とともに、日本の本質的な課題は何かを考え、その解決の道を模索していきたいと思っております。