しかし、世界新秩序どころか、2011年は欧州債務危機をはじめ世界的にも大激動の年となり、残念なことに、その要因として「日本化」という言葉までが流行りました。多くの国が政治的、経済的困難に直面する中にあって「課題解決に向けて決断のできない国」の象徴として日本が位置付けられています。
日本がこのまま衰退の道を加速するのか、新たな繁栄の姿と国際社会における存在を構築できるのか、それはこれからの10年で決まると思います。TPPと消費税問題を前に、日本は、そして日本の政治は、どのような決断ができるのか。そのためには、次の日本の国家の在り方について明確な設計ができる政治の軸を早急に確立する必要があります。
●10年後の日本へ
10年後の2022年は、戦後日本の各時代のスタイルをつくってきた団塊の世代が、現在の定義では「後期高齢者」(75歳以上)の世代に入り始める年です。彼らが65歳となり、「生産年齢人口」から抜けて高齢世代入りを始めるのが、今年の2012年。ここでまず、高齢者への社会保障は年金給付が膨らむ時期に入ります。それが10年後には、今度は医療や介護が膨らむことになります。
それまでの10年間の日本の課題は、団塊の世代を中心に増大する、まだ元気で意欲のある高齢者がいかに「イキイキ人生」を謳歌できるようにするかにあるともいえます。
だからこそ、世界の「課題先進国」となった日本が、世界に先駆けて日本が直面する人類共通課題の代表格である「活力ある超高齢化社会の運営」という課題に対してソリューションとなるモデルを構築することが、日本の次の国家目標とすべきテーマになります。
10年後に日本が老衰する「仙人国家」にならないよう、戦後の日本を築き上げ、暗黙知に満ち満ちた団塊の世代を中心に、元気な高齢者を活力に満ちた世代にすることで、アジアや世界に価値をプロデュースするプラットフォーム、ニッポンを築くこと、個人金融資産の大半を保有する高齢世代に「活動し生産し消費し投資する高齢者たちの物語」を生み出していくこと、これが今後10年間の日本の課題だと思います。
そうした動きを引き出すためにも、日本が様々な分野における人類共通課題について「世界のソリューションセンター・ニッポン」となることを国家アイデンティティーとする。それが「経済成長革命」を起こし、国際社会における新たな存在を築く。そこに「日本新秩序」が形成され、世界に自然と伝播することで、単線的な進歩概念を軸とする西洋文明とは異なる、循環型で持続可能性を旨とする世界新秩序の形成につながることが、人類社会にソリューションと新たな地平を生み出す。
今年が日本の政界に真の軸が形成される年になることを願っています。
●第10回松田まなぶと語る会を、3月22日(木)18:30開会で横浜市開港記念会館にて開催いたします。ゲストに、小川是・横浜銀行会長をお迎えします。
この会ではこんなテーマや素材を取り上げてほしいというご意見を募っておりますので、下記まで、どなたでもご自由にお寄せください。
ファクス: 045-228-7864
皆さまからのお声をお待ちしております。